電子楽器を自作するシリーズ

電子楽器を作りたい話① 仮想GND

 ちょっと前から自分で電子楽器を作りたく思っていて、ちょうどやることがなくなったので基礎的なことから始めてみました。いっぺんに全部やるわけにもいかないので今回は仮想GNDです。

・仮想GNDとは
 オペアンプを使った回路を作成するとき、通常は電源を二つ用意し、マイナスの電位を作らなければなりません。しかし、電源を二つ用意するはめんどくさいので一つの電源で疑似的にマイナスの電位を作ってしまおうというのが仮想GNDです。

・回路
virtual gnd_回路図

 回路としてはこんな感じです。これにトランジスタとか?オペアンプとか?を追加するともっと安定するらしいのですが、まあこれでも十分安定していたと思います。抵抗を大きくすると大きな電流が取り出せるようになりますが、安定性が下がるといったような特徴があります。
 実際に使うときは、Vccを正電源にGNDを負電源につなぎ、GNDを本来はつなぐはずだったところに仮想GNDをつなぎます。

 今回はここまで、次はすぐ出します。次回はオーバードライブの予定です。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話② ウィーンブリッジ

 前回、「次回はオーバードライブをする」とか言ってましたが、よく考えたらまだ最初の入力波ができてませんでした。なので今回は正弦波発生回路であるウィーンブリッジです。

・ウィーンブリッジ
 比較的簡単に正弦波が出せる回路で、抵抗ちょっととコンデンサ少しとオペアンプ一つでできます。
 今回は、周波数が簡単に変えられることからこの回路を採用しました。

・回路
ウィーンブリッジ_回路図
発振条件
1+R3/R4+C2/C1=(R1+R2)/R2

発振周波数
f=1/(2π√C1C2R3R4)

 この式の通り、発振条件よりR1=R2*2にしておくとC1=C2,R3=R4で正弦波が出力され、またそれらの値の掛け算で周波数が決定します。R3とR4の値が等しくないといけないので、二連ボリュームがあると便利だと思います。

・出力
Du0uRDGUUAAoGXH
 出力はこんな感じです。適当に選んだ抵抗とコンデンサでほとんどひずみのない正弦波が出ました。

 周波数を変えるために二連ボリュームが欲しいのですが、構想している楽器の形状に合わせるとサイズが大きくなってしまい、なかなか見つかりません。
 今回はここまでです。次回は今度こそオーバードライブをやります。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話③ オーバードライブ

 やっと最初の波ができたのでこれを加工していきます。まあ、正弦波でもいいのですが、なんか味気ない気がするので加工することにします。波を変形させるものと言ったらエレキギターのエフェクターということで、その中でも代表的な? オーバードライブを作りました。

・オーバードライブとは
 オーバードライブがどういうものかはよくわかりません。自分はバンドをやってたわけでも、バンドの音楽をよく聞いてるわけでもないので当たり前です。ギュイーンってする奴だということは、隣でギターを弾いている弟から教わりました。
 弟全面協力のもと、ギターの出力波形とオーバードライブを通した後の波形をオシロスコープではからせてもらいました。
IMG_1226IMG_1225

 上がギターの波形、下がオーバードライブを通した後の波形です。
 全体的に増幅されていて、一定以上の部分を平滑してる感じかなと思います。

・回路図
 ググりました。色々出てきたので一番詳しく乗っていたFULL TONE OCDにしました。

overdrive_回路図
 GNDは全て仮想のものです。C9はタンタルコンデンサのほうが良いらしいのですが、電解コンデンサでもよいらしかったので電解コンデンサにしました。
 回路図には書き忘れましたが、10kΩ抵抗と500kΩ抵抗がBカーブ、1MΩ抵抗がAカーブとするのがよいそうです。

・出力

 まだアンプで増幅していませんが、出力波形としてはこんな感じです。 また、ギターで使ってみたらこのような感じでした。
 ノイズが思ったより大きいのでバイパスコンデンサを入れたのですが、弟にノイズが大きいほうがいいといわれて外されました。


 今回はオーバードライブを作りました。買うと2万円以上するものなのですが、自分で作れば5000円前後で作ることができました。
 今回はここまでです。次回はチラチラ出てきたアンプを作ります。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話④ アンプ

 今回はアンプです。今回でひと段落し、しばらくはいろいろ試行錯誤することになると思います。

・アンプとは
 電子楽器やエフェクターから出力される信号は数mV~数十mVと非常に小さく、これをスピーカーやヘッドフォンに入れても音はなりません。それなので、信号を増幅し、数V程の音が鳴る大きさの信号に変換するのがアンプの役目です。ものによってはイコライザーのような機能が付いたものもあるらしいのですが、今回は単純に増幅するだけのものになります。

・回路
amp_回路図
 今回は難しいことを考えずに反転増幅回路を使いました。非反転増幅回路でもいいのですが、増幅率の計算が簡単なのと、こちらのほうがメジャーなので反転増幅回路にしました。
 増幅率は、
Vout/Vin=R1/R2
となります。この回路では10倍となっています。

 今回アンプで増幅しました。これのおかげで前回のように音を鳴らすことが可能になりました。
 また、改良ができたら記事を書こうと思います。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑤ 仮想GND2 レールスプリッタ

 あけましておめでとうございます。今年も去年と同じくまったりいろいろなことをやっていきます。

 さて今回は、仮想GNDを作る方法の一つである「レールスプリッタ」を使う方法を紹介したいと思います。
 以前の記事で紹介した方法でもできるのですが、今回の方法のほうが安定します。


rail~

 このような感じで使うことができます。
 キャパシタの値は大きいと、大きな電流を取り出すことができます。

 レールスプリッタは、手軽に使えるので便利だと思います。

 今回はここまでです。スピーカーを今作っているので、次回はスピーカーの記事を書きたいです。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑥ スピーカー

 スピーカーを作りたくなったので作りました。

・用意
 回路とスピーカーを入れる容器を用意します。
PVQJ3543

 スピーカー本体にも音をよくする効果がありますが、今回はそんなことを考えずに作るので、家にあった箱にしました。

 スピーカーは千石で安く売っているものにしました。
HGDB4467

 音は可もなく不可もなく。高音と低音が出にくい気がしますが、小さくて安いものなのでこんなもんでしょう。


・回路

speeker_回路図
 回路はこのようになっており、の回路をつなげた形になっています。


・完成品

INPD6420

 完成品はこのようなものになりました。もとになった箱から、ボリュームと電源と入力が出ています。ポイントはUSB入出力だという点ですが、画像や回路図からは一切伝わりません。また、パソコンのUSBとミニプラグを使っての動作はできません(仮想GNDを使っているため)。


 今回はここまでです。次回はロシアンブルーディレイを作るか、楽器本体の制作に入っていきたいと思います。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑦ ディレイ

 今回は、より音を自然にさせるためにエコーをかけるようなエフェクターを作りました。期末テストが差し迫っていますが気にしてはいけません。

・ディレイとは
 「エコー」と「ディレイ」という似たようなエフェクターがあり、どちらも音を反響したようにさせるものらしいく、使うICも同じなのですが、「ディレイ」のほうが反響するまでの時間が短いらしいのでそちらを作りました。

・回路図
 調べた回路図でも作ってみたのですが一回しか響かなかったので、データシートに載っている回路をチョコっとアレンジして作りました。
delay_回路図
 データシートに載っている回路ではギターを弾いた瞬間の音が聞こえず反響も少なく感じたので、inputとoutputを1μFのキャパシタでつなぎました。これによって、ギターの音が直接聞こえるようになり、またフィードバックが返ってくるようになったので何回も反響するようになりました。

 
 少しノイズがある気がしますが、ハウリングして大きくなったりはしないのであまり関係ないところで発生してるものだと思います。あと、toneがないのですが、あまり自分が感じ取れないのと他のところにはついているのでいいかなと思い省いています。
 今回はここまでです。次回は引く際のスイッチ周りの回路のことを書こうと思います。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑧ 自作のキーボード的な何か

 前にウィーンブリッジを使って正弦波を発信しましがいまいち使いづらいのと汎用性に欠ける気がしたので、今回はtone関数を使ってキーボードのようなものを作れるようにしました。

・構想
 鍵盤をたたくのもいいのですが、手を触れるだけで音程を決めたいと和えから思っていました。その結果、二連ボリュームの場所で音程を決められるウィーンブリッジを使っていたのですが、オンオフ制御が難しかったり、きれいな音程の音を出すのが難しかったり、様々な問題がありました。
 そこで、抵抗をVccからたくさん並べ、Vccにつながっている抵抗での電圧降下を測ればどこの抵抗がGNDに短絡しているのかがわかり、うまい具合にセンサーとして働くということはほとんどのアナログセンサーで使われています。
 それなので、自分の体をGNDにしてセンサーを作って見たところうまくいき、音を鳴らすことができました。

 ・回路
humanR_回路図
 ArduinoのGNDを自分の体に接触させ、sensor1~5を指で押さえるとA0の値が変わります。
キャプチャ1
 実際に測るとこのような感じで読み取ることができます。

・出力
 適当に閾値で分けてtoneで出力しました。そうすると、ド~ソまできちんと出力されました。


 今回は簡単にセンサー部分を作りました。この出力をいい感じにエフェクターなどに流すことができたらこの方式で作っていきたいと思います。
 また、もう一つ同じようなものを通ってそこでコードを決められるようにしたら面白いと思うので、それもやってみたいと思います。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑨ 分周器

お久しぶりです。テストがあったり、春休みに入ったらやる気がなくなったりしたので更新が遅れました。
 今回は分周器を作りました。入力機器の方式については今迷走しているので前回でやった通りにはいかないと思いますが、今回も発振した後の処理の話です。

 どのような発信方法をとったにせよ、出力波は理想に近い正弦波や方形波です。そのような波はオシロスコープなどで波形を見るととてもきれいなのですが、音として聞くと味気ない感じがします(語彙力がないので自分で聞いてみてください)。そんな感覚的なものでなくとも、正弦波にしろ矩形波にしろエフェクターにかけたときに波形が変化しにくいのであまり好ましいものではありません。それなので、出力波を実際の音に近い波に変換してあげて、それをエフェクターに通すなりしたいと思いました。

 実際の音は、物凄く簡単に雑に言うと、sin波の合成で作ることができます。sin波は矩形波を積分すると作れるので、世の中のすべての音は理論上は矩形波だけで作ることができるはずです。まあもちろん簡単にできるわけないので、今回はそこまで大層なものは作らずに、n倍振動の波を合成することにします。

 周波数をn倍にする方法はよくわからないのですが、1/nにするのはそこそこ簡単です。カウンタというものがあり、これは大雑把に言うとn回入力すると1回出力をするというものでこれを使うと周波数を1/nにすることができ、これを分周器といいます。

キャプチャ
 これが今回実際に作った回路の波形で、緑色の入力波に対して青色の出力波の周波数が1/2になっていることがわかります。これを何回か繰り返してできた全部の波形を加算回路に通して出力させるといい感じの波形になります。

キャプチャ
 オリジナルの矩形波を1/2,1/4した合成波です。実際には素子のdelayなどによって変わりますが、ただの矩形波よりは複雑な波になります。

D1-2
 回路図はこの通りになります。LTspiceではPREとCLRがGNDに落ちてますが、今回使ったTC74HC74APをブレッドボード上で動かしたときは5Vに入れると動作しました。
 CLKに信号を入れると周波数が半分になりQから出てきます。

 これにオーバードライブをかけた波を撮影しようかと思いましたがうまく撮れませんでした。


 今回はこれまでです。だんだん全貌が見え始めてきたので頑張っていきたいです。それではまた今度。

電子楽器を作りたい話⑩ 加算回路

 今まで度々使っていて、前回にも話に出ていた加算回路を今回は扱いたいと思います。

 加算回路はその名の通り、入力を足し合わせその和を出力するものなのですが、回路は反転増幅回路にすごく似ています。
キャプチャ

 上の回路の通り、反転増幅回路を複数個束ねたもので、入力の数は2以上であればどのような個数でも使うことができます。
 出力は
 Vo=-{(R4/R1)V1+(R4/R2)V2+(R4/R3)}
となっており、入力を足し合わせる際の比率や出力の強さを簡単に変えることができます。

 今回はここまでです。いまだに全体の構成を考えていないので、加算回路マシマシの設計になるかもしれません。それではまた今度。
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